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Perfumeはタラレバ娘ではなく『逃げ恥』のゆりちゃんなのに!!!

 

Perfumeの新曲「TOKYO GIRL」が東村アキコ先生の「東京タラレバ娘」のドラマ主題歌となった。……が。「違うそうじゃない」感でいっぱいである。

 

何を隠そう、Perfumeは本来「逃げ恥」の土屋百合さん、通称ゆりちゃん同様、女性を勇気づけ、恋ダンスをきゃっきゃ踊って世界中を平和にする存在なのである。そうだ。絶対そうだ。タラレバ言ってる女性じゃない。

 

Perfumeのタラレバ娘的スペック

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 Twitterはてブでも話題だが、「東京タラレバ娘」はアラサー女性3人組を主人公においた中々に残酷な作品である。ざっくりあらすじを言うと、彼女たちは「~たら」「~れば」を口癖に安い居酒屋でつるんで呑んでいる現実を、KEYという若いイケメンモデルに「若くないんだから自分で立て」等々、グッサリと現実を突きさされる。彼女たちは「若さ」「美しさ」に価値ある世界に縛られながら、幸せな恋愛・結婚を夢見て頑張るものの、泥沼にはまっていってしまい…という展開である。

 女性たちは、普段目をそらしているどうしようもない現実、それを見ろと自分の尻を叩く思いで痛みを味わいながら読むものだと思う(少なくとも私はそうだった)。

ところで、スペックでいえばPerfume

・未婚女性3人組(あ~ちゃん27歳・かしゆか28歳・のっち28歳)

・アラサーでありながら「アイドル」というキャリアを未だ邁進中

・最近「もう年も年じゃけぇねえ(笑)(広島弁)」と自虐を始める

 と、一見ほんとうに「タラレバ娘」のようだ。

 

Perfume=ゆりちゃん説

 しかし、私は異を唱えたい。Perfumeはタラレバ娘ではなく、逃げ恥の「ゆりちゃん」なのだ、と。なぜならば、彼女たちもゆりちゃんと同様「既存の価値観に自身が縛られながらも、仕事を続け、誰かの「呪い」を解きながら、同時に自分の存在の呪いも解こうと努力し続ける」からである。

 ここで、まずはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』間のゆりちゃんのエピソードを少しだけ振り返ってみよう。

・土屋 百合 49歳。株式会社ゴダールジャパン 広報部部長補佐(最終話で部長に昇格)

・最終話では20代女性の「若さ、美しさにこそ価値がある」という呪いを説いたシーンが話題に

・「親子ほども年が離れてる」「お小言おばさん」「私にとっては甥っ子」と、ゆりちゃん自身が年齢という呪いにかかり、年下男性との恋愛を憚っている様子が描かれている

 だが、仕事をするゆりちゃんは、女性にかけられた「呪い」を解くことに努力を惜しまない。第9話、ゆりちゃんが地域限定広告に採用されていた「細胞まで愛されたい。目指せモテ肌。」というキャッチコピーを変更するよう上司に直談判するエピソードは象徴的だろう。「自由に生きる。美しくなる。」というキャッチコピーで圧倒的に女性の支持を受けてきた弊社が男性に媚びる文句で商品を売り出す必要はない、消費者がこれを見たらどう思うか、と上司にロジックで迫って案を通した。その後のセリフがこれだ。

「与えられた価値に押しつぶされそうな女性たちが自由になる、自由だからこその美しさ」「例えば私みたいなアラフィフの独身女だって、社会には必要で、誰かに勇気を与えることが出来る。だから私は、カッコよくいかなきゃって思うのよ」

 私が特に印象に残ったのは第8話、自身の車を運転するゆりちゃんと風見さんのシーンのセリフだ。

「最近の若い子って、車持たないわよねえ」

「無くても生きていけるんで」

「…でもね、あなたが思ってるより、ずーっと遠くまでいけるのよ」

このセリフは明らかに昨今の若者の「車離れ」のみを表しているのではない。一人でも、どこまでも行ける。先を目指せる。彼女の生き方のメタファーであろう。

 「若さ」「美しさ」「結婚」だけが価値あるものなのか?問い続け、既存の価値観からの解放という自由を得ようとしたゆりちゃんの人生は、同性からみるととんでもなくカッコいい。ゆりちゃんだけではなく、『逃げ恥』の登場人物たちの姿は、「どんな生き方をしてもいい」というメッセージを強く印象づけるものであった。きっと、多くの人々の「呪い」を解いたのではないだろうか。

 

Perfumeをとりまく「呪い」と彼女たちの挑戦とは?

さて、Perfumeの話に戻ろう。

社会には、「女性アイドル=若くて可愛い女の子」という価値観は未だ強く根付いているように思える。1ファンである私もまた、その価値観に縛られていた。「いったい、いつまでPerfumeで居続けてくれるのだろう?」と。アラサーという「年齢」の呪いである。不安で不安で仕方なかった。彼女たちを失いたくなかった。彼女たちもまた、その価値観と自分たちのキャリアとの葛藤に悩まされていただろう。

 しかし、先日行われたドームツアー・最後の前、朗らかに、高らかに宣言された言葉がこれだ。

夢は大きく、未来は明るい!

(『COSMIC EXPLORER Dome Edition』京セラドーム大阪公演二日目)

彼女たちはそれでも、その価値観が残った「アイドル」というステージを選んだ。その中でも、いくつになっても、夢を持ち続ける。広島のフラワーフェスティバルで歌い踊っていた彼女たちは今、アメリカのとある会場でライブを行うという夢に挑戦している。「若さ」を武器にするというより、彼女たちなりの「年相応の素敵さ」を持ったパフォーマンスを追求し続ける。たとえアラサーになろうが、彼女たちが努力する姿・パフォーマンスは美しくてカッコいい。年齢なんて関係ないんだ、これからも応援し続けられるんだ、とファンの呪いを解いてくれた。彼女たちの軌跡は、「女性アイドル=若くて可愛い女の子」の価値観をブレイクアウトしたのである

 この言葉の後に披露されたのがこちらの「STAR TRAIN」だ。

www.youtube.com

線路のない 道をゆく

想像を超えて進みたい

歯車のようにかみ合う

力は一人じゃ伝わらない

Wow...

I don't want anything

いつだって今が

Wow 常にスタートライン

 その姿はなんといっても「ゆりちゃんのカッコよさ」と通じるものがある。

 

まとめ

以下、「タラレバ娘」主題歌決定にあたってのっちが発表したコメントだ。

のっち

ずっと怖かったんです。タラレバ読むの。
絵は可愛いし、3人組だし、主人公である倫子の髪型にはシンパシー感じるしで、ずっと気になってはいたのですが。読んだ時の自分と向き合う怖さ!!!
読めばストーリーに引き込まれる一方、自分と物語を行ったり来たり…これ新しい体験…あぁ東村先生、、なんて作品を…( ; ; )

http://natalie.mu/music/news/213135

いや、のっちめっちゃ刺されてるやん……とちょっと切なくなった。

 タラレバ娘を読んで刺されてるのっちは、きっと「Perfumeののっち」ではなく、「大本彩乃・28歳」なのだと思う。それでも私にとってのっちは「ゆりちゃん」的存在で、毎日可愛いとカッコいいを更新し続けてくれるから、のっちが頑張る姿が背中を押すから、どうしようもない現実を頑張れるのである。「ゆりちゃん」像は私の押し付けかもしれないけど、現実のPerfumeは「結婚できない女」「タラレバ娘」ではなく私の背中を押す「ゆりちゃん」だった。

 

逃れたくてたまらない、現実という「呪い」を自身につきつけながら読む「東京タラレバ娘」。

自分にかかった「呪い」を解こうともがく姿を描く「逃げるは恥だが役に立つ」。

この時代には、どちらの作品も必要だし、求められているのだと思う。私はどちらの作品も好きだ。

しかし、Perfumeのポリシーには「タラレバ」より「逃げ恥」が合うと私は思う。ただそれだけの話。タイアップごときで大騒ぎしてしまったけれど。

紅白あたりでPerfumeの恋ダンスが披露されることを切に願っている…。

 

あ、あと引用した今年のドームツアーが29日WOWWOWで初披露されます。エグい位カッコいい。これを見るためにWOWWOW契約した。

 

natalie.mu

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